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オーバースロー・サイドスローとは?ピッチャーの投げ方4種類の違いと選び方

公開 2026.08.02更新 2026.09.15投手専門コーチ 野村亮太

夕方のグラウンドで、少年野球の左投げピッチャーが逆光のなか、片脚を踏み出してボールを持った腕を高く上げ投げ込む全身の一場面。腕の角度が横からはっきり伝わる構図で、顔は帽子のつばと逆光の影で特定できない

「上から投げる子も、横から投げる子もいる。うちの子の投げ方はこれでいいの?」と迷っている保護者の方へ。

こんにちは。投手専門オンライン野球塾・投Laboの野村亮太です。浦和学院、大東文化大学を経て、独立リーグで左投手としてプレーしていました。

結論:

  • オーバースロー=上から振り下ろす投げ方。ほかにスリークォーター(斜め上)、サイドスロー(横)、アンダースロー(下)がある
  • 角度は腕だけで作るものではなく、体の傾きで自然に決まる
  • 子どもは無理に角度を変えない。角度で球速は変わらないという研究もあり、大事なのは肘の高さ・投げすぎ・毎回そろうこと

この記事でわかること:

  • 4つの投げ方の違い(表で整理)
  • サイドスローの投げ方と、変えるときの注意
  • うちの子の投げ方に無理がないかのチェックと、家でできるドリル

オーバースローとは

オーバースローとは、ボールを持った腕を、頭の上のほうから振り下ろす投げ方です。オーバーハンドとも呼ばれ、日本でいちばん多い投げ方です。

腕が高い位置を通るぶん、ボールに角度がつきやすくなります。

スリークォーターとは

スリークォーターとは、オーバースローとサイドスローの中間、斜め上から投げる投げ方です。

英語で「4分の3」という意味で、真上と真横のちょうど間あたりの角度です。意識しなくても、自然にこの形になる子が多くいます。

サイドスローとは

サイドスローとは、腕を地面と平行に近い高さで、横から投げる投げ方です。

打者から見ると、ボールが横から来るように見えます。横に曲がる変化や、独特の見え方が武器になります。

アンダースローとは

アンダースローとは、腕を低い位置から、すくい上げるように投げる投げ方です。

プロでも数が少ない投げ方で、打者はタイミングを合わせにくくなります。

4つの投げ方の違い

ピッチャーの投げ方4種類を、腕の角度の目安とともに4つのパネルで並べた図。左上=オーバースロー(上から・角度の目盛りはほぼ真上、日本で一番多い/無理が少ない)、右上=スリークォーター(斜め上から・中間、バランスがよい/自然な子が多い)、左下=サイドスロー(横から・水平、コントロールや横の変化)、右下=アンダースロー(下から・低い角度、希少で球速は出にくい)。各パネルに小さな角度の目安ダイヤルと一言の特徴を添える。人物は描かず、角度の目安と文字だけで示す

投げ方腕の位置よく言われる特徴少年野球での目安
オーバースロー上から日本でいちばん多い。角度がつきやすい自然ならそのままでOK
スリークォーター斜め上から中間でバランスがよい自然ならそのままでOK
サイドスロー横から横の変化・独特の見え方本人に合えば武器
アンダースロー下から数が少なく、タイミングを外しやすい急がない

大切なのは「どれがいちばんいいか」ではありません。その子が自然に、無理なく振れる角度があるということです。

角度は「腕」ではなく「体の傾き」で決まる

ここが、いちばん誤解されやすいところです。

投げ方の角度は、腕だけを曲げて作るものではありません。研究では、2つの組み合わせで腕の位置が決まることが分かっています。体を横にどれだけ傾けるかと、脇の開き(体と腕のあいだの角度)です。

  • 体を大きく横に傾けると、腕は上から出る(オーバースロー寄り)
  • 体をあまり傾けないと、腕は横から出る(サイドスロー寄り)

つまり、腕だけを横に振っても、本当のサイドスローにはなりません。腕だけ下げると、肘が下がった無理な形になりやすいのです。

サイドスローの投げ方と、変えるときの注意

「サイドスローの投げ方」を知りたい方のために、やり方を説明します。ただし、成長期の子に無理に変えさせることはおすすめしません。

サイドスローの基本

  1. 体を横に倒しすぎず、上半身をやや起こしたまま投げる
  2. 肘は肩のラインより下げない(腕だけを下ろさない)
  3. 下半身から回して、体の回転に腕がついてくる形にする

変えるときの注意

  • 本人がやってみて、自然にしっくりくる場合だけにする
  • 変えるなら、指導者と相談しながら少しずつ
  • 変えている間は、肩やひじに違和感が出ていないかを毎回確認する

私の指導でも、角度そのものを直すことはほとんどありません。直すのは、角度ではなく肘の高さや下半身の使い方です。

子どもは「どの投げ方」を選べばいい?

結論はシンプルです。まずは、その子が自然にできる投げ方を大切にしてください。

多くの子は、意識しなくてもオーバースロー〜スリークォーターあたりに落ち着きます。迷ったら、そこを土台にすれば十分です。

研究でも、高校生とプロ合わせて約400人を調べたところ、腕の角度で球速に差は出ませんでした。角度は"個性"であって、直す対象ではないのです。

とくに成長期は、いろいろな型を試すより、1つの形で毎回同じ動きを作るほうが伸びます(コントロールを良くする方法)。

投げ方に無理がないか、家でチェック

次の3つを、親御さんが見てあげてください。

チェックやり方合格の目安
① 角度が毎回そろうか正面からスマホで10球撮る10球中8球、腕の出る高さが同じ
② 肘が下がっていないか後ろから、投げる瞬間を撮る両肩と肘がほぼ一直線(10球中8球)
③ 痛がっていないか投げたあとに聞く・様子を見る肩やひじの痛み・違和感が一度もない

②は、角度よりもずっと大事なポイントです。肘が肩のラインより下がる「肘下がり」は、どの投げ方でも負担につながります。

ここで大事なことを1つ。その子にとって自然な角度は、一人ひとり違います。 同じ横から投げていても、体に合った横投げの子もいれば、肘が下がって横になっている子もいます。

その見分けは、実際の動画を見ないと正確にはできません。気になる所があれば、まず正面と後ろから撮って見比べてみてください。

自然な投げ方を育てるドリル4つ

回数は目安で、週2〜3回で十分です。

① 力を抜いたキャッチボールで「自然な角度」を見つける

やり方:5mほどの距離で、力を抜いて楽に5球投げる。続けて、同じ距離で強めに5球投げる。親が正面から両方を撮る。 回数:楽に5球+強めに5球。 親が見るところ:楽に投げたときと強く投げたときで、腕の出る高さが変わっていないか。 できているサイン:どちらも腕の高さがほぼ同じ。楽に投げたときの高さが、その子の自然な角度です。強く投げると高さが大きく変わる場合は、力みで角度が崩れているサインです。

② その角度でシャドー

やり方:①で見つけた角度のまま、ボールを持たずにゆっくり投げる動きをくり返す(シャドーピッチングのやり方)。 回数:10回×2セット。 親が見るところ:途中で腕の高さが変わっていないか。 できているサイン:10回中8回、同じ高さで腕が振れる。

③ 肘の高さを確かめる「止めシャドー」

やり方:ボールを持たずに投げる動きをして、トップ(ボールを持った手を、頭の後ろあたりまで引き上げた形)で2秒止まる。 回数:5回×2セット。 親が見るところ:後ろから見て、両肩と肘がほぼ一直線か。 できているサイン:止まった形で、肘が肩の高さにある。

④ 下半身から投げるステップ

やり方:片足で立ち、踏み出してから8割の力で投げる。7〜10mの距離で。 回数:10球。 親が見るところ:腕だけで投げていないか。踏み出した足が着いてから、体が回っているか(下半身の使い方)。 できているサイン:力を入れすぎなくても、ボールが相手まで伸びていく。

大事な注意です。肩やひじに痛みがあるときは、投げ方を変える前に投球を止めて、整形外科へ。角度をいじって痛みをごまかすのは、いちばん避けたいことです。投げすぎのサインは球数の目安にまとめています。

やりがちなNG 2つ

NG① 「サイドにすれば肘にやさしい」と思って変える

先に結論を言うと、「肘にやさしいから」は、子どもの角度を変える理由になりません。 研究の結果が、正反対に分かれているからです。

  • 実験室の研究:サイドスローのほうが、肘の内側の負担が大きかった(2009年)
  • メジャーリーグの記録:横に近い投げ方ほど、怪我で休む期間が短かった(2026年・大人のプロ)

角度より気をつけたいのは、肘下がり投げすぎです。

NG② 上から投げさせようと、体を大きく横に倒させる

「もっと上から投げなさい」と言われて、体を大きく横に倒して投げる子がいます。

研究では、体を横に倒すほど球は少し速くなる一方で、肩やひじの負担も大きくなることが分かっています。見た目の角度のために、無理に倒させる必要はありません。

投Laboの考え方:型に当てはめない

私自身、体も大きくなく、力も強くありませんでした。それでも投げてこられたのは、自分に合った自然な投げ方を大切にしてきたからです。

「この型にしなさい」と押しつけず、その子の自然な動きを土台に、肘の高さや下半身を整える。怪我をさせずに・課題は1つずつが、投Laboの考え方です。

まとめ

  • ピッチャーの投げ方は主に4種類=オーバースロー・スリークォーター・サイドスロー・アンダースロー。
  • 角度は腕だけで作るものではなく、体の傾きで自然に決まる。腕だけ下げると肘下がりになりやすい。
  • 腕の角度で球速は変わらない、という研究もある。子どもは無理に変えず、自然な角度を大切に。
  • 「サイドにすれば安全」は研究でも結論が分かれている。角度より肘の高さ・投げすぎに注意。
  • 家でのチェックは①角度がそろう ②肘が下がらない ③痛がらないの3つ。

お子さんにとって自然な角度か、肘に無理がないかは、本人にも親にも見えません。自然な角度は子どもごとに違うので、動画で見極めたい方は初回無料の動画分析を使ってみてください。カード情報も要りません。

よくある質問

Q. 子どもの投げ方(腕の角度)は、変えたほうがいいですか?

基本は、無理に変えないほうがよいと考えています。多くの子は、自然に無理のない角度に落ち着きます。

見た目のかっこよさだけで変えるより、まずは自然な形で毎回そろう動きを作るほうが、結果として伸びやすいです。

Q. サイドスローにすると、肘や肩の負担は減りますか?

一概には言えません。研究でも結論が正反対に分かれています。

子どもの場合は、角度より肘が下がっていないかと、投げすぎのほうを気にしてください。

Q. サイドスローにすると、球は遅くなりますか?

腕の角度で球速に差は出なかった、という研究があります。サイドスローだから遅い、オーバースローだから速い、とは限りません。

球の速さを決めるのは、角度より下半身から腕へ力を伝える動きです。

Q. 子どもが「サイドスロー(変則)にしたい」と言い出しました。どうすればいい?

まず、なぜそうしたいのかを聞いてみてください。「かっこいいから」なのか、「今の投げ方だと投げにくいから」なのかで、答えが変わります。

投げにくさが理由なら、角度より先に、肘が下がっていないかをチェック表の②で確かめてください。試すなら指導者と相談しながら少しずつ進め、肩やひじに違和感が出たら元の投げ方に戻しましょう。

Q. スリークォーターとオーバースローは、どう違うのですか?

腕の出る高さの違いです。オーバースローは上から、スリークォーターはそれより少し斜めの位置から振り下ろします。

体の傾きが大きいほど上から、少ないほど斜めになります。どちらも無理が少ない、基本の投げ方です。