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球速の測り方とは?家でスマホ・ストップウォッチで測る方法と、数字の正しい受け取り方

公開 2026.10.09投手専門コーチ 野村亮太

明るい芝生の上に、左から白い野球ボール(赤い縫い目)、ストップウォッチ「00:00.52」を表示したスマートフォン、茶色い革のグローブを並べ、真上から見下ろした昼間の写真。球速を測る道具がそろっている。人物は写っていない

「うちの子の球速、いま何キロなんだろう」。少年野球のピッチャーを持つ親なら、気になりますよね。

元独立リーグ(プロ野球とは別の、プロの舞台)の左腕で、いまは投手専門のコーチをしています。

結論:

  • 家で測るなら、スマホのスロー動画が手軽でおすすめ(手で押すズレがない分、時間を正確に読める)
  • ストップウォッチは0.1秒ずれるだけで数字が大きく変わる=あくまで目安
  • 計算式は「距離(m) ÷ 時間(秒) × 3.6」。投手板(マウンドの板)〜本塁は高学年16m・一般18.44m
  • この式で出るのは区間の平均の速さ。テレビのスピードガン(初速)とは別もの
  • 出た数字は目安。球速には体の成長とフォームが関係する(数字を追うより動きを見る)

この記事でわかること

  • 家で球速を測る3つの方法と、それぞれの誤差の大きさ
  • 球速の計算式と、距離・時間の正しい測り方
  • 数字に振り回されない見方と、家でできる体づくりの練習

球速の測り方|家でできる3つの方法と「数字は目安」

家で球速を測る方法は、大きく3つです。

  1. ストップウォッチで、投げてから捕るまでの時間を測って計算する
  2. スマホのスロー動画で、かかった時間(コマ数)を数えて計算する
  3. スピードガンアプリで測る

いちばん手軽なのはストップウォッチです。ただ、手で押すズレがない分、時間を正確に読めるのはスマホのスロー動画です。

ただ、どの方法でも先に知っておいてほしいことがあります。

家で出した球速は、あくまで目安だということです。

プロが使う本物のスピードガンのような正確さは、家では出せません。理由は、このあとの「なぜ誤差が出るのか」で説明します。

まずは、数字をそのまま信じすぎないことが大切です。

「スピードガンがないと測れない?」まず知ってほしいこと

「スピードガンを買わないと、球速は測れないのでは」。そう思う方は多いです。

結論から言うと、スマホ1台あれば、だいたいの球速は計算できます。

考え方はシンプルです。ボールが進んだ距離と、かかった時間が分かれば、速さが出せます。

これは、車のスピードと同じ考え方です。何メートル進むのに何秒かかったか、で速さが決まります。

計算式は、このひとつだけです。

球速(km/h) = 距離(m) ÷ 時間(秒) × 3.6

「× 3.6」は、1秒あたりの速さ(m/秒)を、時速(km/h)に直すための数字です。

ひとつだけ、先にお断りを。この式で出るのは、ボールが飛んでいる間の平均の速さです。

テレビで見るスピードガンは、手を離れた直後の初速を表示しています。測っている場所がちがうので、家の数字とテレビの数字を直接くらべないでください。

距離は、投手板から本塁までを使います。おおよその目安は次のとおりです。

区分投手板〜本塁の距離
学童(小学生)・低学年14m
学童(小学生)・高学年16m
中学生・一般(軟式/硬式)18.44m

学童の距離は全日本軟式野球連盟の区画線、18.44mは公認野球規則にもとづく数字です。

あとは「時間」をどうやって測るか。ここで誤差の大きさが変わってきます。

なぜ家で測ると誤差が出るのか(3つの理由)

家で測った球速が「目安」にとどまる理由は、主に3つあります。

3つの測り方と誤差の大きさを比べた横棒の図解。同じ85km/hの球を測ったとき、ストップウォッチは74〜99km/hと幅が広い(赤)、スマホのスロー動画は84〜86km/hと幅がせまい(緑)、アプリは機種や測り方で変わるため幅が決められない(グレーに「?」)。横軸は70〜100km/h。人物は描かれていない

理由① 人の指のズレ(ストップウォッチ)

ストップウォッチは、人が指でボタンを押します。

ところが人の反応は、押し始めも押し終わりも、0.1秒くらい簡単にずれます。

この0.1秒が、球速では大きな差になります。あとで具体的な数字を見てみましょう。

理由② 距離のズレ

表の距離は「投手板から本塁」までです。

でも実際は、ボールを離すのは投手板より少し前、捕るのは本塁より少し後ろです。

だから、ボールが本当に飛ぶ距離は、表の数字より少し短くなります。

表の距離(16mなど)をそのまま式に入れると、出る球速は本当より少し大きめになります。これも誤差のひとつです。

横から見た投球の距離の図解。左に投手板、右に本塁(五角形のホームベース)。投手板〜本塁は高学年16m・一般18.44mと示す。ボールを離す点は投手板より少し前、捕る点は本塁より少し後ろにあり、実際にボールが飛ぶ距離はこの数字より少し短くなることを矢印で示す。下に計算式「球速(km/h)=距離(m)÷時間(秒)×3.6」。人物は描かれていない

理由③ アプリは測り方がバラバラ

スピードガンアプリは便利ですが、アプリによって測り方がちがいます。

そのため、出る数字にも差があります。「このアプリは正確」とは言い切れません。

この3つがあるので、家の球速は「ぴったりの数字」ではなく「だいたいの目安」になります。

では、どのくらいずれるのか。次で実際に計算してみます。

【セルフチェック】家で球速を測ってみる(手順と、数字の受け取り方)

いちばんおすすめは、スマホのスロー動画で測る方法です。手順はこうです。

  1. スマホの「スロー」モードで、真横から投球を撮る(iPhoneなどは120〜240コマ/秒) ※コマ=動画の1枚1枚の静止画のこと
  2. ボールが手から離れたコマと、捕ったコマを探す
  3. その間のコマ数を数える。コマ数 ÷ 240(240コマ/秒のとき)=かかった秒数
  4. 式に入れる:距離 ÷ 秒数 × 3.6(距離は表の16mなどを使う)
  5. 3回測って、真ん中の数字を使う(1球だけで決めない)

たとえば高学年(16m)で、163コマ(=0.68秒)かかったとします。

16 ÷ 0.68 × 3.6 = 約85km/h です。

この85km/hは「16mをまるごと飛んだ」と考えた場合の数字です。実際に飛ぶ距離は少し短いので、本当の球速はもう少し低めになります。ここでも「ぴったり」ではなく「目安」です。

スロー動画のいいところは、0.004秒きざみで時間を読めること。コマを1〜2枚数えまちがえても、球速は1〜2km/hしか変わりません。

(この1〜2km/hは、時間の読み取りだけのズレです。先ほどの距離のズレは、これとは別に少し乗ります。)

一方、ストップウォッチの場合を見てみましょう。

同じ0.68秒の球でも、指が0.1秒ずれると、こうなります。

  • 0.58秒と読んだ → 16 ÷ 0.58 × 3.6 = 約99km/h
  • 0.78秒と読んだ → 16 ÷ 0.78 × 3.6 = 約74km/h

この例では、0.1秒ずれるだけで、同じ1球が74〜99km/hのどこにでもなってしまいます。

だからストップウォッチの数字は、1km/h単位で受け取らないでください。10km/hくらいの幅を持たせて、「だいたいこのくらい」の目安として見ましょう。

球速は、こうして家でも計算できます。

でも、ここで大事なことがあります。数字そのものを追いかけても、球は速くなりません。

球速には、体の成長(年齢・体格)や体の使い方が関係します。そのうち、家から取り組めるのがフォームです。

同じ「球が遅い」でも、原因は子どもによってちがいます。

  • 力みで固まっている
  • 下半身が使えていない
  • 腕の振り方のクセ

どれなのかは、動きが速くて、家で見ているだけでは切り分けにくいものです。

だからこそ、球速を測るついでに、真横と後ろからスマホでフォームを撮っておくのがおすすめです。あとでゆっくり見返せます。

数字より大事|体全体を使う家の練習

球速を1km/h追いかけるより、体全体を使ってのびのび投げる練習に取り組むほうが建設的です。

ここでは、家でできる基本的な練習を4つ紹介します。強く投げ込むのではなく、動きを整えるのが目的です。回数はあくまで目安で、週2〜3回で十分です。

子どもの手が、力を抜いて野球のボールを軽く握っている様子を近くから撮った写真。背景の緑はぼかしてある。力まずに握るイメージが伝わる

① 力を抜いて投げる「脱力キャッチボール」

  • やり方:7〜10mの距離で、力を6〜7割に抑えて投げる。
  • 回数×セット:10球×2セット。
  • 親が見るところ:肩や腕に力みがないか。
  • できているサイン:楽に投げているのに、ボールが相手まで伸びる(力みと球速の関係)。

② 下半身から投げる「ステップスロー」

  • やり方:片足で立ち、踏み出してから体の回転で投げる。7〜10mで。
  • 回数×セット:10球×2セット。
  • 親が見るところ:腕だけで投げていないか。踏み出した足が着いてから体が回っているか。
  • できているサイン:力を入れすぎなくても、ボールが相手まで届く(下半身の使い方)。

③ フォームを固める「タオルシャドー」

  • やり方:タオルを持ち、投げる動きをゆっくり行う。トップ(手を頭の後ろまで引いた形)で2秒止める。
  • 回数×セット:10回×2セット。
  • 親が見るところ:毎回、同じ形になっているか。
  • できているサイン:止めた形が、いつも同じ高さ・同じ角度。

④ ゆったり大きく「山なりの遠投」

  • やり方:15〜20mの距離で、山なりの軌道でいいので、腕を大きく振る。置きにいかない。
  • 回数×セット:15球。
  • 親が見るところ:体が小さく縮こまっていないか。
  • できているサイン:体全体を使って、ふわっと遠くへ運べる。

球速を測るときの、やりがちなNG → 正しい方向

球速を測るとき、気をつけたいことを正しい方向とセットで整理します。

  • NG①:1球だけ測って、その数字で一喜一憂する → 1球の数字は、たまたまの誤差が混ざりやすいです。3回測って、真ん中の数字を見ましょう。
  • NG②:速い数字を出したくて、全力投球を何球も繰り返す → 疲れるとフォームが崩れ、肩やひじの負担になります。測るのは数球まで。測った分も球数に入れます。
  • NG③:ほかの子やネットの数字と比べて、落ち込む → 同じ学年でも、体の成熟には1歳近い差があるという研究があります。目安から外れても、それだけで問題とは限りません(学年別の球速の目安)。

数字は、あくまで「前回の自分と比べる」ための道具です。他人との比較や、1球の最速値に振り回されないでください。

【安全のための注意】

  • 速い数字を出したくて、全力投球を何球も繰り返さない
  • 測った分も、その日の球数に入れて数える
  • 肩やひじに痛みがあるときは、投球を止めて整形外科へ

私たちフォームの専門家は、痛みの診断ができません。投げすぎのサインは球数の目安にまとめています。

投Laboの考え方:数字でなく「どう投げるか」を見る

球速は、分かりやすい数字です。だからこそ、振り回されやすい数字でもあります。

投Laboでは、球速そのものを追いかけません。怪我をさせず、課題は1つずつ整える。その積み重ねが、球速の伸びしろにつながると考えています。

そして、速くなるためのカギは、家で見ているだけでは分かりにくいフォームの中にあります。

投Laboでは、お子さんのフォームを初回無料で動画分析しています。気になる方は、無料のフォーム分析から、まずは動きを見せてください。カード情報も要りません。

まとめ

  • 家で球速を測るなら、スマホのスロー動画が手軽(手で押すズレがない分、時間を正確に読める)
  • 計算式は「距離(m) ÷ 時間(秒) × 3.6」。距離は高学年16m・一般18.44mが目安(出るのは平均の速さ)
  • ストップウォッチは0.1秒のズレで数字が大きく変わる=「だいたい」で受け取る
  • 1球で決めず3回測って真ん中。測るための全力投球も球数に入れる
  • 数字を追うより、力を抜いて体全体を使う練習に取り組む

球速の数字は、伸びを確かめる道具のひとつです。でも、家から取り組めるのはフォームです。動きを見てほしい方は、初回無料の動画分析を使ってみてください。

よくある質問

Q. スピードガンは買ったほうがいいですか?

一般向けの簡易スピードガンもありますが、機種によって誤差があります。

数字の正確さより、同じ機種・同じ場所で測って「前より上がったか」を見るのがおすすめです。買う前に、まずはスマホのスロー動画で十分です。

Q. アプリで測った球速は正確ですか?

アプリによって測り方がちがい、誤差があります。出た数字を「正確な球速」として受け取らないでください。

目安として、または「前回との比べもの」として使うのがよいです。

Q. スマホのストップウォッチ機能でも測れますか?

測れますが、指で押すタイミングのズレは残ります。この誤差は、スマホでも専用の機械でも、同じくらい出ます。

より正確に時間を読みたいなら、同じスマホの「スロー動画」で測るほうがおすすめです。

Q. 子どもの球速が目安より遅いです。大丈夫でしょうか?

同じ学年でも、体の成熟には1歳近い差があるという研究があります。今の数字だけで判断はできません。

学年別の目安と、その正しい見方は少年野球の球速の平均にまとめています。

Q. 球速を上げるには、何をすればいいですか?

球速には体の成長も関わるので、一気に上げる近道はありません。家からできるのは、力を抜いて体全体を使う練習です。

まずは力みと球速の関係と、下半身の使い方をご覧ください。