少年野球の連投は大丈夫?休養日の目安と肩肘を守る球数管理を投手専門コーチが解説

「土曜も日曜も試合で、朝から晩まで投げていた」。少年野球では、めずらしくない光景ですよね。
でも、ふと心配になります。連日投げて、うちの子の肩や肘は大丈夫なんだろうか、と。
こんにちは。投手専門オンライン野球塾・投Laboの野村亮太です。元独立リーガーの左投手として、また指導者として、たくさんの小・中学生の投球を見てきました。
この記事では、連投(連日・連戦で投げること)はなぜ危ないのか、そして**投げたあと何日あければいいのか(休養日の目安)**を、野球未経験の保護者にもわかるように解説します。
結論: 子どもの肩肘で気をつけたいことのひとつが、「疲れがたまった状態で投げ続ける連投」です。
カギは球数だけでなく休養日。多く投げた日ほど、次に投げるまで日をあけます(目安は下の図)。3日続けて投げない、週末の掛け持ちや同じ日の連投にも注意しましょう。
【医療注意】 この記事は一般的な目安の紹介で、診断や治療の指示ではありません。球数や休養日の数字はあくまで目安で、体格や成長には個人差があります。
肩・肘に痛みや違和感があるときは、まず投げるのをやめてください。痛みが強い・くり返す・気になるときは、様子を見ずに早めに整形外科(スポーツ整形)を受診してください。
なぜ「連投」が肩肘に危ないのか
投げるたびに、肩や肘には負担がかかります。ひと晩ぐらいでは、その疲れは完全には抜けません。
疲れが残ったまま、次の日もまた投げる。それが積み重なると、負担が抜けきらないうちに、次の負担が乗っていきます。
とくに小学生は、骨も関節もまだ成長の途中。大人より、投げすぎの影響を受けやすい時期です。
実際、投げすぎが関係する野球肘は11〜12歳ごろに増えやすいとされ、痛める子の多くは投手や捕手です(→子どもの投げすぎサインと球数の目安)。
だからこそ、1日の球数と同じくらい、「何日あけるか」が大事なのです。
投げた球数で「休養日」を決める(目安)
「何球投げたら、何日休む?」の目安として、世界で広く使われている考え方があります(MLBとアメリカ野球連盟が示すもの)。
投げた球数が多いほど、次に投げるまで長くあける。とてもシンプルな考え方です(小学生年代の目安)。
| 1日に投げた球数 | 次に投げるまで(目安) |
|---|---|
| 〜20球 | 翌日投げてもよい |
| 21〜35球 | 中1日あける |
| 36〜50球 | 中2日あける |
| 51〜65球 | 中3日あける |
| 66球以上 | 中4日あける |
(表の「中1日」は、1日はさんで翌々日から投げる、という意味です。中2日なら2日はさみます。)
数字はあくまで目安です。体調や成長には個人差があります。とくに低学年ほど、この目安より少なめ・休養は長めに考えると安心です。
「これだけ休めば絶対に安全」というものではありません。そして球数に関わらず、3日続けてマウンドで投げるのは避けましょう。
見落としがちな「週末の落とし穴」
平日はしっかり休めていても、週末にまとめて負担がかかることが多く見られます。次の3つは要注意です。
- 試合の連投:土曜も日曜も先発(試合の最初から投げること)。1試合ぶんの球数はルールの範囲内でも、2日続くと負担は大きい。
- 同じ日に2試合:1日に2試合(ダブルヘッダー)で続けて投げる。これは避けたい投げ方です。
- チームの掛け持ち:所属チームと選抜・クラブなど。別々のチームでも、肩は1つです。
親が見落としやすいのが、掛け持ちの球数です。片方のコーチが「今日は30球」と思っていても、子どもにとっては一日で60球ということが起こります。
だからこそ、その日・その週にトータルで何球投げたかを、親がざっくり把握しておくと安心です。
日本のルールも「連投」を制限している
日本の少年野球(学童)でも、投げすぎを防ぐルールが定められています。おもな内容は次のとおりです(大会や年度で細かな違いはあります)。
| ルール | 内容(目安) |
|---|---|
| 1日の球数 | 1試合かつ1日70球ほどまで(高学年) |
| 連投 | 投手は1日1試合まで。同じ日の連続登板(ダブルヘッダー)は禁止 |
| 1週間 | 2026年から、週210球ほどまでの上限も追加 |
医学の面からも、小学生は1日およそ50〜70球・1週間で200球ほどまでを目安に、週に1日以上は投げない休養日をつくることがすすめられています。
数字は団体や資料で少しずつ違いますが、「1日の球数を抑える・連投しない・休みを入れる」という方向は共通しています。
よくある誤解——「肩が強いから大丈夫」
いちばん心配なのが、**「うちの子は肩が強いから、連投しても平気」**という考え方です。
強いから大丈夫なのではありません。痛みが出にくいぶん、無理に投げ続けてしまうことがあるのです。
成長期の肩肘の障害は、痛みが出たときには、もう進んでいることも少なくありません(→成長期の肩の痛み)。
「痛くないなら投げていい」ではなく、疲れのサインが出たら休ませる。これが、長く野球を続けるためのいちばんの近道です。
親が気づける、疲れのサインの例です。
- 寝ても疲れが抜けない・朝の機嫌が悪い
- 食欲が落ちた・体が重そう
- 肩や肘を気にするしぐさが増えた
- 投げるフォームが、いつもより崩れている
元・独立リーガー左腕として伝えたいこと
私は、体も力も特別ではない左投手でした。だからこそ、投げすぎでフォームを崩し、肩肘に不安をかかえた時期があります。
いま思うのは、**「もっと早く休んでいれば」**ということです。連投して勝った1試合より、痛みなく続けられた時間のほうが、ずっと大きな財産になります。
投げすぎの根っこには、疲れた体で無理に腕を振る、という問題があります。力を抜いて全身で投げるフォームなら、同じ球数でも肩肘の負担は変わります(→全力で投げないほうが速くなる理由)。
休養と、負担の少ないフォーム。この2つが、子どもの肩肘を守ります。
投げたあとのケアと、フォームの見直しも
休養日をとりつつ、投げたあとのケアも習慣にすると安心です(→野球肘を防ぐアームケア)。
そして根本は、やはりフォーム。同じ球数でも、体の使い方しだいで肩肘の負担は大きく変わります。
ただ、そのフォームは——投げている本人も、隣で見ている保護者も、自分では意外と見えていないものです。
投Laboでは、スマホで撮った投球動画を投手専門コーチが分析し、保護者向け+お子様向けの2部構成レポートでお返しします。
初回の動画分析は無料です。カード情報も要りません。「うちの子の投げ方のクセや、力の入りすぎ」を、まず客観的に見るところから始めてみてください(→スマホでのフォーム動画の撮り方)。
まとめ
- 気をつけたいのは、疲れがたまった状態で投げ続ける連投。
- 球数だけでなく休養日が大事。多く投げた日ほど、次まで日をあける。
- 3日続けて投げない・同じ日に2試合投げない・掛け持ちは球数を合算で。
- 日本の学童ルールも医学の目安も「球数を抑え・連投せず・休みを入れる」で一致。
- 「肩が強いから平気」は禁物。疲れのサインが出たら休ませる。
- 痛みや張りがあるときは投げず、気になるときは早めに医療機関へ(→子どもの投げすぎサインと球数の目安)。
連投をやめて休みを入れることは、サボらせることではなく、長く投げ続けるための準備です。子どもの肩肘を、いっしょに守っていきましょう。
よくある質問
Q. 試合で投げた次の日、また投げさせても大丈夫ですか?
投げた球数によります。目安は、36〜50球で中2日、51球以上なら中3日以上(20球ほどまでなら翌日でも大丈夫)。くわしくは上の図と表を参考にしてください。
球数が少なくても、3日続けて投げるのは避けてください。疲れや痛みのサインがあれば、球数に関わらず休ませましょう。
Q. 2つのチームを掛け持ちしています。球数はどう数えますか?
別々のチームでも、子どもの肩は1つです。両方の球数を合算して考えてください。
それぞれのコーチは、相手チームでの球数を知りません。その日・その週に合計で何球投げたかは、親が把握しておくのが安全です。
Q. 本人が「痛くないから投げたい」と言います。投げさせていいですか?
痛みがないことは、負担がないことと同じではありません。成長期の肩肘の障害は、痛みが出たときには進んでいることもあります。
「痛くないから」ではなく、球数と休養日の目安、疲れのサインで見てあげてください。少しでも痛み・違和感のサインや迷いがあるときは、無理に判断せず整形外科(スポーツ整形)に相談を(→成長期の肩の痛み)。
Q. 週にどのくらい休養日をつくればいいですか?
投げない休養日を、週に1日以上はつくるのがすすめられています。連戦が続いた週は、その後に少し多めに休むと安心です。
休みは「サボり」ではありません。体が回復し、次にいい状態で投げるための大事な時間です。