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サウスポー(左投げ)の球速が遅い理由は?本当の原因と、伸ばす順番・家でできるドリル

公開 2026.10.12投手専門コーチ 野村亮太

ナイター照明に照らされたマウンドで投球する少年野球の左投げ(サウスポー)投手の後ろ姿。ボールは左手、グラブは右手。踏み出した右足が着き、体がしなる瞬間

「左投げなのに、うちの子は球が遅い」。そう感じている保護者の方へ。

こんにちは。投手専門オンライン野球塾・投Laboの野村亮太です。

私自身も左投手でした。体が大きいわけでも、ずば抜けて速かったわけでもありません。

それでも、独立リーグ(プロ野球とは別の、プロの舞台)まで投げ続けました。

結論:

  • 「左だから」で球速が決まるわけではありません。平均の差もごくわずかです
  • 球速の大きさは、その多くが成長(年齢)と体の大きさで決まります。左右は関係ありません
  • 左の子で見かけるのは、クロスファイヤー(左が斜めに投げ込む武器)を意識しすぎて窮屈になること。まずはまっすぐ投げる土台から

この記事でわかること

  • サウスポーの球速が「遅い」と言われる本当の理由
  • 左投げの子の球速が伸び悩む、よくある3つの原因
  • 家でできるセルフチェックと、球速につながる練習ドリル

サウスポーの球速が遅い理由は「左だから」ではありません

先に答えをお伝えします。「左だから速く投げられない」という体の決まりは、ありません。

平均では右のほうがわずかに速い、というデータはあります。ですが、その差はごくわずかです(くわしくは左ピッチャーとは?有利な理由)。

投げ方そのものも、左右でほとんど変わりません。

プロの投手を、年齢・身長・体重、そして球速までそろえて左右で比べた海外の研究があります。

投げ方の31項目を調べて、ちがいが出たのは、たった4項目だけでした。

研究者も「投げ方は、右も左も同じように教えてよい」と結論づけています。

左というだけで、その子の球速や伸びしろが決まるわけではないのです。

現場から: 「左は球が遅い」と昔は言われました。でも、いま子どもたちを見ていて、左だから遅いと感じることはほとんどありません。遅いのには、左右と関係のない理由があります。

では、その「本当の理由」を見ていきましょう。

「左なのに球が遅い」と感じるのは、どんなとき?

保護者の方からは、こんな声をよく聞きます。

  • チームの右の子より、スピードガンの数字が出ない
  • 変化球やコントロールはいいのに、ストレートだけ遅い
  • 去年から球速が伸びていない気がする

どれも「左だから」とはかぎりません。私が指導でよく確認するのは、次の3つの原因です。

球速が伸び悩む、よくある3つの原因

原因は、左の子に特別なものばかりではありません。多くは右の子と共通です。

原因①:球速の「器」は、成長と体の大きさで決まる

球速の大きさを大きなコップにたとえた図。コップの大部分(下の広い部分)が「成長(年齢)と体の大きさ」、上のごく一部が「フォーム」で、成長と体格が球速の土台であることを示す。lime とグレーの2色で塗り分け

球速には、体という「器(うつわ)」の大きさがあります。

研究では、球速の大きさの多くが、年齢と身長で説明できる、と報告されています。

フォームは、その上に球速を積み増したり、ケガを減らしたりするために磨くものです。どのくらい伸びるかは、子どもによって違います。

だから、まだ体が小さい時期に「左なのに遅い」と焦る必要はありません。

現場から: 「うちの子は左なのに遅い」と言われたら、私はまず「球速がすべてではないですよ」と伝えます。

学生なら、これから伸びしろがあります。トレーニングもまだ足りていません。

体が大きくなって筋力がつけば、球速が伸びる可能性は十分あります。

私自身、球速は思うように伸びませんでした。それでも、独立リーグまで投げ続けられました。

原因②:地面の力が、途中で漏れている

左右に関係なく、いちばん多いのが、自分に合った体の使い方ができていないケースです。

投球は、地面の力を足 → 腰 → 肩 → 腕 → ボールとバケツリレーで伝えていきます。

腕だけで投げると、せっかく足で作った力が、ボールに届く前にこぼれます。

これがいわゆる「手投げ」です。下半身の使い方は下半身の使い方でくわしく解説しています。

原因③:クロスファイヤーを意識しすぎて、窮屈になっている

これは、左の子で見かける落とし穴です。

現場から: クロスファイヤー(左が斜めに投げ込む武器)を意識するあまり、踏み出す足が体の内側に入ってしまう子がいます。

これを「インステップ」と言います。

投げ方が窮屈になって、せっかく作った力が伝わらなくなる。これも、球速が上がらない原因です。

小さいうちから、変わった角度づけを強く意識させるのはおすすめしません。

まずは、まっすぐ投げる土台が先です。踏み出す足の向きは踏み出し足の向きにまとめています。

家でできる球速セルフチェック:力が抜けていないか

家で見る3つのチェックポイントを「◯力が乗っている・✕力が抜けている」で並べた表。前の足のヒザは5秒立てるか、体の開きは10球中8球胸を我慢できるか、捻転差は腰が先・肩があとにねじれているか

私が動画でまず探すのは、「力が抜けているポイント」です。

家でも、次の3つを目安に確かめられます。左右で比べると、違いに気づきやすくなります。

① 前の足のヒザ(左投げなら右ヒザ)

足が着いたあと、ヒザがグラッと曲がって沈んでいませんか。

目安は、片足で5秒ピタッと止まって立てること。左右で比べてみましょう。

② 体の開き

胸が早くキャッチャーを向くと、力が抜けます。

10球投げて、8球くらい胸の向きを我慢できているか、数えてみましょう。体の開きは体の開きが早いでも解説しています。

③ 捻転差(下は回る、上は我慢)

腰が先に回りはじめても、肩はまだ後ろを向いて待っている。この順番ができていると、力が伝わります。ねじれは、大きさより順番が大事です。

ここまで見て、「うちの子はどれだろう」と迷うのは自然なことです。

フォームには個人差があり、同じ「球が遅い」でも、原因は子どもによって違います。

そして、力が抜ける一瞬は、肉眼ではなかなか見きれません。

まずは、横から・後ろからの2方向をスマホで撮ってみてください。スロー再生にすると、見えてくるものがあります。

球速アップにつながる、家でできるドリル4つ

自宅のリビングで、左投げの子どもがタオルを持ってシャドーピッチングをしている様子を、スマートフォンで撮影する保護者の手元。子どもは後ろ姿で顔は写っていない

特別な道具はいりません。普段の練習とは少し違う、体の使い方を覚えるドリルです。

① 前足立ちキープ(力が逃げない「壁」を作る)

  • やり方:投げ終わりの形で、前の足(左投げなら右足)だけで立つ
  • 回数:5秒キープ × 左右3セット
  • 親のチェック:ヒザがグラッと内側に入っていないか
  • できているサイン:頭が前足の上に、まっすぐ乗って止まれる

② タオルで「下は回る・上は我慢」シャドー

  • やり方:タオルを持ち、腰から先に回し、肩はそのあとから動かして振る
  • 回数:10回 × 3セット
  • 親のチェック:腰が回っても、肩が一瞬あとから動いているか
  • できているサイン:タオルが体の前でビュッと音を立てる

③ まっすぐ踏み込みドリル(インステップのクセ直し)

  • やり方:ホームへまっすぐ線を引き、その線に沿って踏み出して投げる
  • 回数:10球 × 2セット
  • 親のチェック:踏み出す足が、線より内側に入っていないか
  • できているサイン:窮屈さが消え、腕が楽に振れる

④ 両足ジャンプ連続(下半身のパワー)

  • やり方:その場で、できるだけ速く・高く、両足で連続ジャンプ
  • 回数:10回 × 3セット
  • 親のチェック:着地でヒザが内側につぶれていないか
  • できているサイン:地面を押して、リズムよく跳ね続けられる

安全のために: すでに肩やひじに痛みがあるときは、投球を止めて整形外科で診てもらってください。球速を上げる練習より、痛みのサインと、投げすぎ(球数・疲労)の管理が先です。

やりがちな間違い:球速のために「歩幅を広げろ」はもったいない

球速を上げたくて、「もっと歩幅を広げろ」と教えたくなります。

ですが、私の指導では、歩幅だけを無理に広げさせません。

自分から届かせにいくと、着地で前のヒザが沈みやすく、せっかくの力が地面に漏れてしまうからです。

大事なのは、前の足で地面に「壁」を作り、その上に頭が乗ること。

歩幅は、しっかり押せた「結果」として、自然に広がっていきます。

同じように、腕の「しなり」も自分で作るものではなく、順番と土台が整った結果として、自然に出てくるものです。

左投げの球速は、正しい順番で育てれば伸びていきます

左投げの球速は、正しい順番で体を育てれば、これから十分に伸びていきます。

ただし、伸び悩む「原因」は、子どもによって違います。

前のヒザなのか、体の開きなのか、捻転差なのか——力が抜ける一瞬は、動画をコマ送りで見ないと、正確には分かりません。

私が分析するときも、まず動画で、力が抜けている場所を一つずつ探していきます。

投Laboでは、初回の動画分析を無料で受けていただけます。

お子さんのフォームを横と後ろから撮って、無料フォーム分析に送ってみてください。「左だから」で終わらせず、本当の伸びしろを一緒に探します。

元独立リーグの左腕として、根性論ではなく「なぜ遅いのか」という原因からお伝えします。

一生投げ続けられる体を守ることを第一に、直すところは一度に一つだけ。球速アップの全体像は球速アップの方法にまとめています。

まとめ

  • 「左だから」で球速や伸びしろは決まらない。平均の差もごくわずか
  • 球速の器は、まず成長と体の大きさ。左右は関係ない
  • 伸び悩む原因は、力の漏れ(手投げ)と、クロスファイヤーの意識しすぎ
  • 家では「前ヒザ・体の開き・捻転差」をチェック。ドリルは土台づくりから
  • 原因は子どもごとに違うので、迷ったら動画で見てもらうのが近道

よくある質問

Q. 左投げの子は、右投げの子と練習を変えたほうがいいですか?

基本的には同じで大丈夫です。左右で、投げ方の大きな枠組みは変わりません。

まずは右の子と同じく、地面の力を伝える土台づくりから始めてください。

Q. 球速を上げるには、何歳からが勝負ですか?

球速の大きさは、成長と体の大きさに大きく左右されます。

体が大きくなり、筋力がついてくる時期に、自然と伸びやすくなります。

小さいうちは数字に一喜一憂せず、正しい体の使い方を覚えることを優先しましょう。

Q. クロスファイヤーは練習しないほうがいいですか?

育成年代では、強く意識させる必要はありません。

変わった角度づけを意識しすぎると、踏み出す足が内側に入り、かえって力が伝わらなくなります。

まっすぐ投げる土台ができてからで、十分です。

Q. 球速が遅いと、ピッチャーとして不利ですか?

球速だけが武器ではありません。

とくに左は、コントロールや投げる角度、めずらしさ(数が少ないこと)といった、速さ以外の武器が効きます。

くわしくは左ピッチャーとは?有利な理由をご覧ください。

Q. 変化球を覚えれば、球速の遅さをカバーできますか?

その前に、まず土台と体づくりを優先してください。

球種を増やすこと自体より、投げすぎ(球数や疲労)のほうが、成長期の肩やひじには負担になります。

カバーよりも、まずケガをしない範囲で体を育てることが先です。